とんがり帽子の歌の伴奏をしながら
H28.2.5 T・Sさん
  私は老人福祉施設などの“歌のボランティア”で、元気な懐かしい歌として
 「とんがり帽子(鐘の鳴る丘)」を良く歌っています。
  この歌には私の色々な複雑な想い出が詰まって居り、それを感じながら
 歌の伴奏のハーモニカを演奏しています。
  この歌は太平洋戦争の空襲で、両親や養育する親族を失った戦災孤児の
 収容施設をテーマとした昭和22年から25年までのNHKラジオの放送劇 
 「鐘の鳴る丘」のテーマ音楽として、不幸な悲惨な孤児たちを励ますため
 に作られたものです。菊田一夫作詞・古関裕而作曲です。
  学童疎開をしていた児童が、小学校の卒業式のため学童疎開から親元に
 帰ってきた途端、この大空襲に遭ってしまったのです。逃げる途中親達と
 別れ別れになり、何とか生き延びて助かった子もこの日から戦災孤児とな
 ってしまったのです。
  一人ぼっちでどうやって生きていったのだろう。放送ドラマの様な恵ま
 れた施設に行ったのは恐らく少数です。学校の空き教室などに収容された
 児童も幸運だったと思います。そして社会に巣立って行き、戦後の復興に
 貢献して現在は後期高齢者となっております。
  戦後兄の研究で戦災孤児の調査を手伝いました。孤児が上野駅地下道
 や築地の東本願寺などで捕まって、収容施設に送られて行く様子や、施設
 から逃げ出す様子をたくさん見てきました。そのためか何かこの歌に愛着
 があるのです。
  最近になって東京大空襲や戦争孤児の番組が放送されるようになり、悲
 惨な状況が分かるようになりました。
  この様な思いを浮かべながら、この歌の伴奏を手伝っております。